蝦夷地別件

この作品は何かの書評でおすすめだったので、手にとってみたもの。
この1年くらいで読んだ本の中では、かなり存在感があり、重厚感たっぷりの読み応えのある小説で自分自身の中では記憶に残る作品だった。
内容は日本人(シャモ)の横暴さに耐えられなくなったアイヌが蜂起する話だが、有名なシャクシャインの乱よりも120年後が舞台となっている。
アイヌが蜂起する過程では、南下するロシア、その動きを警戒する幕府、幕府の動きを警戒する松前藩などの取り巻く情勢があり、それぞれの立場の人物を登場させて、主人公であるアイヌの動きと絡めて展開していく。
正直アイヌの歴史に触れたことなどほとんどなく、何度となく訪れている北海道でもアイヌ語以外はまったく意識することもなかった。ここで舞台となっている道東も車でキャンプしながらまわって楽しい思い出しかないが、歴史を知っていたらもっと違った味わい方ができただろう。
現在、アイヌにかかわることについては、政治上デリケートな問題として、左翼に利用されている感が否めないが、日本人として歴史認識はもっているべきだと痛感した。
ところで、作者の船戸与一は、外浦吾朗の筆名で自分の好きなゴルゴ13の原作も著しているらしい。世界観としてなるほど納得。。。
自分自身にはこれが初めての小説として船戸ワールドの入口になったので、他もかたっぱしから読んでみよう。

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